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蓮が生きる 蓮が美しい 蓮が枯れ始める前に 蝶に化身し 飛び立とうとする 阻止する風雨はない 明日には誰かに会えそうだ 美しく飛ぼう 華やかに飛ぼうと 念ずるのです

少年は夏の碧沼と遊ぶ 少女は夏の碧沼を見る 青年は夏の碧沼を歩く 老人は過去を懐古する 私は耳を澄まして波音を聞く 森の鳥が歓迎するが如く囀る 静寂の碧沼 誰が名づけたのか 曇天でも 雨天でも 晴天でも 絶えず碧の世界 私は碧沼 私は想いだし 此処に憩う

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朝のベンチ 中世の城壁に 心の堅固を 感じる 敵の防御だけではなく 信頼、安心、 さらには愛も感じる 明るい朝の城内 朝日を受けつつ 仕事に向かう人 城を誇りに思うのか じっくり時間をかけて 尋ねてみたいもの 時に流され 日々の生活に 精を出している人 旅人には 羨ましく 贅沢に思う 固いパンを千切り   *1 濃縮のジュースを飲み 酢入りのキャベツを味わう *2 城内の石畳を踏み 散策して想う 旅とは、‘何, いつも 旅に出て 自問自答する 旅人は 無意識に 朝日の当たらない城外に出た その歩みは 逃避ではない 誘惑されていたのだ 朝日の微光が 優しく、眩しく、切なく 射す城外の壁    *3 ‘何,の答えが その城壁の下の 古いベンチにあった *1 バウエルンブロート *2 ザワークラウト      *3 ローテンブルクのレーダー門の近く

花を見ていたが 不意に振り向いて もう一度見たら 誘惑された 風が吹いていないのに 渦を巻き 花弁が回り始めた まるで夢世界だ なぜ私を誘惑したのだろう 春の陽気さではない 春の悪戯でもない 春の何だろうか 問いかけてみた

葉影

葉に見る影 森を行く 葉のさえずりが道案内 ゆっくりとついて行く、 新緑に映える 麗しき世界に勧誘する 時間が止まった如く 立ち尽くす 形を作り 面白そうに遊ぶ影 陽が盛り故 映えるのです もう少しもう少し 風に揺れて遊びたい

桜が散る 風が吹く 桜が舞う 風の悪戯 桜が廻る 風に酔う 桜が躍る 人の苦悩 風に飛ぶ 桜が笑顔 静寂世界へ

お名前はわからない いつ咲いたかわからない いつ枯れるのかわからない 雨は降らない 太陽の光を待つ 水分を欲している じっと咲いていた 時折、虫が来ているが 会話をしているでもない 孤独に咲く花には どんな楽しみがあるのですか 教えて欲しいなー

懐古

灯り 昭和の香り 昭和の灯り 昭和の眩しさ 狭い部屋に 隅々まで照らす 人を温かくしてくれそうだ 電気の力 人工的だが 確かに温かい 部屋の賑やかさも 部屋の静寂も 喜怒哀楽を吸収してくれた あの電灯 まだ埃はあるだろう そっと取り除きたい

水中葉の想い 流れ行く病葉 時には立ち止まり 秋を振り返る 冷たい水 時には凍てつく 身動きできず 困惑する 陽が上がり 思いに耽っていると 急な流れに誘われる 北風も誘い 友の葉も見失う 何処で再会できるのか

荒波 荒れ狂う世界よ 苦悩の闇なのか 七日経過しても静まらぬ 心も肉体も何か辛く重い 解放への思いを綴ろうと ペンを探し始める 見つかるもインクなし この波に流されたか 沈めよ やがて来る 明るき広大なる世界 待つ、待つことだ

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枯葉は語りき 春の若葉は意気揚々 青春の破天荒な生き方 無邪気な緑の自慢 夏の猛暑で生き生きと 光合成を繰り返し 虫と楽しき会話が弾む 秋は嫌いな季節 蝕まれていく姿 裏切りの世界にも似て 悲しき淋しき哀れ也 老いていく私に似て欲しくはない 現実も語りかける枯葉よ 雨が降り雪が降り 風に吹かれる 土に還るのです

秋が来た 一年前と少し変わった秋色 心の移ろいにも似ている秋色 寂しすぎる季節も 色が慰めてくれる 遠くに夏の空が薄っすらと見えるも あの暑さは過去 秋色が語り掛ける この秋道を歩きたい 心地よい風が 不可思議なプリズムを揺する

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春風が吹く 薄が揺れる 鳥は逃げる 青空が見る 淋しき思いが 少し増幅する 呼吸が乱れる 春を遮る風が 勢いを増した 風が止みだした 心が開いたかな 薄が擦り合った 会話が始まった 悪戯もひどいね 小さな心が揺れた 大きな太陽を見た 梅香が広く漂った 春になったようね 薄の会話が弾んだ

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病葉たちの道 新芽、成長、新緑、 月日が経過 枯葉、病葉 見苦しそうだ 葉自身も、見る人も 見向きもしない 川に流れ、流される あの川、この川 集積した集合体 蒼い空が 美しいよと 囁いていた

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ここよ ここに座ってよ ここは 穏やかな風が吹くんだよ 疲れているんでしょう 座りなさい 一人なんでしょう 座ると誰かが座ってくれるよ 影が語りかける ベンチ 癒し路が続く ベンチ

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歩を進めよ 道があるなら進んでいこう 登り坂があろうが 下り坂があろうが 大雨であろうが 大雪であろうが 大嵐であろうが 人が見つめていようが 正しい道なんだろうよ 自分を信じられるよね 自信を持てよ 振り返るなよ 煌めく世界が待っているから 歩を進めよ

西陽のあたる部屋 静寂な風景を見ていたら 寂しい気持ちが治まる 季節の草木も 啼く小鳥も 心地良い 季節は初夏 心が開く 心が躍る 旅心が生まれる 誘惑するように 西日が射す 明日はこの光はないよ 明日はこの光はないよ なんども囁く そうだ 今を楽しもう 手元には 旅の壱ページが開いていた 思わず 笑顔が見えた 寂しさがまた消えた

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桃源郷の花はやはり桜ですか。 ピンク色が誘う世界 しかも数えきれない数なら満足 左右対称のアーチを見つけ そこをくぐると 歩が進む 会いたい人はいないのに 桜の香りが誘うのです 静寂の中 心地よい風が 一輪に触れ 落ちる 小川に流れ 何処へたどり着くのか 私の気持ちと重なっていた

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黄昏れ 祈りは今 黄昏の時 一日の労を忘れ 手を合わせる 帰り道 夕焼け小焼け あの歌が聞こえる あの歌を口ずさむ 希望を持とうと 歩が進む また進む 春風が夜風になっていた もう家は近い 夕餉が待っている 笑顔が見えた 背に黄昏が映っていた

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静寂の河に 一艘の舟が停泊 風に揺れる葉の音と 小鳥の啼き声が聴こえる 心地良く聞こえる この舟に誰が乗るのだろうか 行先は対岸の町 それも寂しい町に見える 旅人が遠くから見えた 船頭も見えた また旅が始まりそうだ

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雪が降る 樹が化粧 雪が降る 樹が歌う 雪が降る 樹が賑やか 雪が降る 樹が躍る 雪が降る 樹が舞う 雪が降る 樹が競う 青空が見つめる じっと見つめる 雪よ樹よ 寒くないのね

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鳥が1羽 寒そうだ 鳥が1羽 樹に佇む 鳥が1羽 見詰ている 鳥が1羽 淋しそう 鳥が1羽 話しかける 鳥が1羽 春だね 鳥が1羽 話しかける 鳥が1羽 笑顔が見えた 鳥が1羽 安心した 鳥が1羽 飛び立った

湖底の物語 昔 ここには家があって 生活していた いろいろな事情で 立ち退き 広大な湖になる 少しだけ 干あがり 地面が見えた 不思議な世界が見えた 雨よ 降ってくれ そう叫びたくなりました

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車輪が語る世界 列車は走る 乗客は笑顔 素敵な時間 車輪は回る 車輪は無心 苦労の時間 乗客は忘れ 列車が走る 思い出はどうでもいい 俺は俺の仕事として走る 風はあろうがなかろうが 俺はただひたすら走る 大汗を飛ばしながら 俺はただひたすら言われるまま走る 誰も俺の仕事を考えてはくれないが 俺はただひたすら終着駅まで走るんだ

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鳥たちが 寂しそう 鳥たちは 食を求めて 木々を渡り歩く 親鳥は何処へ 地上に降りても 騒々しい 葉がサクサク 歩を進めても 食は無い 木の実が欲しい 満たしてみたい また飛んでみよう

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鳥たちが 寂しそう 鳥たちは 食を求めて 木々を渡り歩く 親鳥は何処へ 地上に降りても 騒々しい 葉がサクサク 歩を進めても 食は無い 木の実が欲しい 満たしてみたい また飛んでみよう

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蝉が鳴いている 秋なのに 蝉が鳴いている あの夏を惜しむように 蝉が鳴いている 枯れ果てるまで 蝉が鳴いている 夕日に照らされて 蝉が鳴いている 終わることなく 蝉が鳴いている 蝉が鳴いている

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Soap bubble シャボン玉が飛んだ 快風が誘い出した シャボン玉が舞った 心地よく軽やかに 円舞曲に乗じて踊る 生命力を見た シャボン玉が消えた シャボン玉を探した シャボン玉を呼んだ

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